米国とイスラエルによるイランへの攻撃は、それなりに金融市場に動揺を与えています。
ドル円は早朝には売られましたが、その後切り返し156円80銭前後までドル高が進み、ユーロドルでも1.17台半ばまでドル高が進んでいます。株式市場の方ではさらに影響が大きく、日経平均株価は前場で一時1500円ほど下げる場面がありました。また、安全資産の「金」は前日比87ドル(2日14時時点)ほど上昇し、5640ドル台に乗せています。さらに北海ブレント先物価格も、原油輸送ルートの要衝であるホルムズ海峡が実質的に封鎖状態となっていることを受け、一時82ドル台に急騰しています。執筆時時点では、まだ中東や欧州勢が完全には参入していないため、実際にどのような動きを見せるのか不明ですが、中東地域の不安定さが増す中、市場では、円はもはや「安全通貨」として認識していない可能性もあります。
翻ってみれば、グリーンランド、ベネズエラ、イランと、この3地域に共通しているのは、「エネルギー資源」です。グリーンランドは豊富なレアアース、ベネズエラは埋蔵量では世界一と言われている石油、そしてイランはもちろん石油です。トランプ大統領は、軍事力だけではなく、エネルギー資源の分野でも他の国々を圧倒することで、「Make America Great Again」を実現できると考えているのかもしれません。ブルームバーグは独自の取材で、「トランプ氏のイラン攻撃決断の舞台裏」と題し、以下のように報じています。
「ジュネーブでは、トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏とウィトコフ特使がイラン側との協議にあたっていましたが協議は実らず、両氏は、あらゆる選択肢が尽きたと感じていた。彼らの見立てでは、イランの最高指導者ハメネイ師の世界観は、トランプ氏が描く中東ビジョンと共存する余地をほとんど残していなかった。ホワイトハウスでは27日、トランプ氏が数日後に重要な予備選挙を控えたテキサス州での政治イベントに向かう準備を進めていた。しかし、イランをめぐるトランプ氏の不満は次第に募っていた。高官らはトランプ氏に対し、イランとの短期的な合意は視野に入るものの、ミサイル計画といった核心問題を含むものにはならないと説明した。同日のテキサスでの集会で、トランプ氏は交渉状況について「満足していない」と語った。その後、一時的な和やかさも見られた。同州コーパスクリスティのハンバーガー店で、支持者たちの前で「ハンバーガーはみんなに!」と宣言し、自身が第47代大統領であることを示す「47」の番号が付いた持ち帰り袋を手にした。しかし振り返れば、その軽妙さは厳しい現実を覆い隠していた。もはや追加協議は行われなかった。トランプ氏はテキサスを離れ、週末をフロリダ州の私邸マール・ア・ラーゴで過ごすため移動した。ワシントンではバンス氏が閣僚らと協議。同日夜、ルビオ氏は議会幹部に対し、イランに対する軍事行動の可能性が高いと通知し、トランプ氏は「今夜、私がやろうとしていることを実行する意志を持った大統領はこれまでいなかった」と述べ、戦争は始まった」
と、トランプ氏がイラン攻撃へと突き進んだ前夜を紹介しています。トランプ氏は、戦争の終結については「4週間程度を見ている」と話していますが、それで終わればいいのですが・・・。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
