今朝、「今日のアナリストレポート」で、「TACOトレード」は機能していると書きましたが、本邦では「高市トレード」も同じく機能しています。維新の会が自民党と「閣外協力」を行うことで合意したことを受け、150円台半ばで取引が始まったドル円は午前中には151円台まで上昇し、一時は151円20銭前後までドルが反発しました。このドル高を支えたのが日経平均株価の急騰です。米国でリスクオフの流れが後退したことで、週明けの日本株は上昇すると見られていましたが、「高市トレード」の復活で一時は先週末比1500円に迫る上昇を見せ、最高値を更新しました。
維新の吉村代表は20日午前、自民党の政策協議は「ほぼまとまった」と記者会見で明言しました。午後6時から東京都内で自民党の高市総裁と党首会談を行い、連立政権樹立の文書に調印する予定のようです。連立合意に伴い、21日召集の臨時国会で行われる首相指名選挙で維新は、高市氏に投票する方針だと報じられています。維新の所属議員全員が高市氏に投票すれば自民党と計231議席になり、過半数の233に迫ることになります。仮に決選投票にずれ込んでも野党が一致して対立候補に投票する可能性は低く、高市氏が女性初の首相に選出されることが確実な情勢です。「高市首相誕生」が「高市トレード」を活発にさせ、ドル高、株高を演出しています。
日銀の高田審議委員は20日広島市で行った講演で、2%の物価安定目標は既に「おおむね達成した局面」との見解を示しました。この講演により、事前に予想はされていましたが、151円台まで買われたドル円は再び150円台半ばまで押し戻されています。高田氏は、9月の金融政策決定会合で利上げを提案した理由について、「機が熟したと考えた」と説明。堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続など前向きな企業行動の持続性が確認され、7月以降に米関税交渉が合意・確定した中で、「私としては警戒モード、『計画運休』の解除の段階と判断した」と述べました。また、物価上昇について、「物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」と発言し、「米経済が、日本の利上げの制約にはならない」との認識も示しました。同委員は前回9月の決定会合で、政策委員9名の中で田村委員と共に反対票を投じたこともあり、「タカ派的な発言」は事前に予想されていました。同委員の発言を受け10月会合での利上げ確率は「25.4%」とやや上昇しています。
今週は、来週行われる日米の金融政策会合を控え動きにくい展開が予想されます。「FRBは利下げで、BOJは据え置き」と予想されます。ドル円は150円台を固めていたと思われましたが、先週末には同水準を大きく下回る動きでした。ただ、その時点でも「MACD」ではデッドクロスが完成されそうでしたが、それでも「プラス圏」で推移しており、「まだドル高トレンドが転換したとは言えない」と、先週末に行ったセミナーでは言及しました。今週は、再び150円台を固める動きになるのか、あるいは上値の重さを確認することになるのか、注視したいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
